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内山さんに手渡されたのは、一冊のファイルだった。三浦さんは、すでに冷めてしまっただろう珈琲を口にしながら、静かに成り行きを見守っている。
「ここに書いてあるのは全て、三浦の絵の取引に関する記録です。そしてこれが、あの絵の交渉の詳細」
私は、内山さんが指差した部分に急いで目を走らせた。
「……嘘、こんなに?」
記載されている金額のあまりの大きさに、私は言葉を失った。
……こんな金額、とてもじゃないけど手が届かないわ。
想像以上の金額に打ちのめされた私は、無言で内山さんにファイルを返した。
「麻倉さん、どうでしょう。私のお願いを受け入れてはもらえませんか?」
「それは……」
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