予期せぬ再会

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◇◇◇◇◇  まだ仕事が残っているという内山さんと別れ、私と三浦さんは同時にギャラリーを出た。  だいぶ遅い時間になってしまった。アーケード街のほとんどの店はシャッターを下ろしていて、人通りも少ない。  こうして改めて二人きりになると、再会した時の気まずさが蘇って来る。私はしばらく無言で三浦さんの後に続いた。 「帰りはバス? それともタクシーで?」  沈黙を破ったのは、彼の方だった。  内山さんの前で絵の話をしていた時はおくびにも出さなかったけれど、彼はまだ私のことを誤解しているはず。もしかしたら、ひどい態度を取った私を、内心軽蔑しているかもしれない。そう思っていたから、彼から話しかけられたことが少し意外だった。 「終バスの時間は過ぎたのでタクシーで帰ります」 「そう。乗り場まで送りますよ。この辺りも案外物騒だから」
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