180人が本棚に入れています
本棚に追加
「香りって……ああ、画材かな」
「画材?」
「そうです。絵の具とか溶剤の匂いが体に染み付いてしまってるんでしょうね。すみません、あまりいい香りじゃないでしょう?」
「いえ、そんなことは」
確かにちょっと独特な香りかもしれないけど、不快に感じたわけじゃない。
彼自身の香りと合わさった絵の具の香りを、寧ろ私は好ましいと思った。
「まあでも、ようやく合点がいきました。一人で気持ちよく飲んでたはずなのに、目が覚めて知らない男が隣に寝てたら、ああいう反応でも仕方ない」
「酷い態度でしたよね、私。三浦さんは恩人なのに。本当にごめんなさい」
最初のコメントを投稿しよう!