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「それに私ったら、助けてもらったお礼も言わずに失礼しました。あの時はありがとうございました」
私は、ありったけの気持ちを込めて彼に頭を下げた。……ようやく彼にお礼を伝えることができた。
「いや、あの男にはバーのマスターや他の常連たちも嫌な思いしてたんだ。これでもう二度とあの店には来ないでしょう。皆せいせいしてますよ」
自分の行いを恥じていた私に、これ以上気を遣わせまいとしているんだろう。三浦さんは私を見下ろすと、穏やかに笑って見せた。
――実は私には、あの絵を見たときから、彼に訊いてみたいことがあった。
「……三浦さん、あなたは何故私の絵を描いたんですか?」
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