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飲み物を手に談笑する人々を掻き分け、爪先立ちで内山さんの姿を探す。
会場の中ほどまで進むと、奥の展示スペースにいる一際背の高い男性の姿が目に入った。
彼の隣には、内山さんがいる。あの人が、三浦さんなんだろうか?
こちらには背を向け、ドリンクの入ったグラスを片手に、周りを取り囲む女性たちと談笑している。
私に気づいたのか、内山さんは微笑を浮かべると、私に向かって軽く会釈をした。そして背を伸ばし、隣に立つ男性に耳打ちをする。
男性が私の方に振り返った。
「……え?」
重なった視線に、体が硬直した。
「……嘘」
私の前にいるのは、あの男性だった。泥酔して記憶を無くした翌朝、互いに一糸纏わぬ姿で同じベッドにいた、あの男性。
予期せぬ再会に、互いに息を呑んだ。
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