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彼の言葉を遮り、大きな声で尋ねてきたのは、彼の後方にいた若い女性だった。
途端に場内がざわめき出し、皆の視線が私に集中する。
「や……あの、ちょっと……」
あっという間に私まで来場者たちに取り囲まれ、身動きが取れなくなってしまった。大勢の人に阻まれ、三浦さんと話もできない。
「あの、すみません。ちょっと通していただけませんか?」
「麻倉さん」
焦る私の前に颯爽と現れたのは内山さんだった。私に押し寄せる人たちから庇うように私の背中に手を添えて、会場の隅へと連れ出してくれた。
「……内山さん、ありがとうございます。助かりました」
ホッと安堵のため息を吐いた。まさか私まで、あんな風に取り囲まれるなんて思ってもいなかった。
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