予期せぬ再会

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「えっと、お酒は……」  今はちょっと控えているんです、と言いかけて口を噤む。 「いえ、ありがとうございます。いただきます」  せっかく内山さんが持って来てくれたのだ。一杯だけと心に決め、繊細な泡が弾けるフルートグラスを受け取った。 「……それで、今日三浦さんとはお話できるんでしょうか?」 「ええ、もちろんです。ただ、もう少しだけお待ちいただけますか? あと三十分ほどで終わる予定ですので」 「わかりました」 「良かったら、三浦の他の絵もご覧になってみてくださいね」 「ありがとうございます」  私の返事に柔らかな笑みを浮かべ、内山さんはまた三浦さんのいる場所へと帰っていった。
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