海里のろくでもない日常

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「……つまみと酒を少しくらいならいいんじゃないか?」 「えっ。  でも、せっかく、まかないも少ししか食べずに頑張ったのに」 と言って、どんだけ夕食楽しみにしてんだ、と言われてしまう。 「いや、だって、美味しかったですよね、あの宿のお食事」 と言うと、海里は、 「お前、先、乗ってろ」 と言って、売店に行ってしまった。  始発の電車なので、まだ余裕がある。  だが、海里が出てくるまで、あまりは売店の外で待っていた。  ビニール袋を手に出て来た海里が、 「どうした。  乗ってろと言ったろう」 と言ってくるが。 「いいえ。  万が一、なにかで手間取って、海里さんが乗れなかったらいけないので」 とあまりは言った。 「乗り遅れるときも、迷子になるときも一緒です」 と言うと、海里が笑う。
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