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「お前は寂しいかもしれないけど、俺は光栄だよ。
俺を信用してくれたから、お前を俺に託してくれたって事だろう?」
「……うん」
そうなんだと思う。
あの心配性な絢音ちゃんが、あんな大胆な提案をするなんて。
郁郎君だからこそ、安心して純平さんのところへ行けるって思えたんだと思う。
「雪音はどうなんだ? 俺と暮らすこと……」
そう言って、私の手の上に自分の手を重ねる郁郎君。
大きな手にすっぽりと包まれて、とても暖かい。
「郁郎君ともっと一緒にいたいって思っていたから、そうなれるのはすごく嬉しいけど。
まだ学生なのに、同棲みたいなことしていいのかなあって」
寂しがり屋のくせに、そういうところはやけに臆病になってしまう。
「ずっと一緒がダメなら、週末だけここに来ようか?
お姉さんにも、週末だけ純平さんのところに行ってもらえばいい」
「え、でも……。
そうしたら絢音ちゃん、あんまり純平さんと一緒にいられないよね」
ただでさえ休みが合わなくて、昼間のデートなんて出来ないのに。
週末の夜しか一緒に過ごせないなんて、なんだかかわいそう……。
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