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うそっ!
郁郎君のメガネが割れちゃったよ。
あのメガネ、ガラスのレンズっぽかったもんな。
こんな硬いコンクリートの上に落ちたんじゃ、割れちゃうよね。
郁郎君、呆然としちゃってる。
周りがよく見えないからかもしれない。
大丈夫?と声をかけようかと思ったけど。
なぜかダンスサークルのメンバー達が恐ろしいくらいに静まり返っていて。
それがあまりに不気味で、声をかけるのをやめた。
「あーあ、メガネ壊れちゃったねー。
いっくんがいけないんだよー。素直に外してくれないから」
うっ、麻衣ちゃん。
そこはまず謝るところなんじゃないの?
あぁ、わかった。
サークルのみんな、麻衣ちゃんの強引さに驚いているんだ。
郁郎君のメガネを無理矢理外して、しかも壊しちゃうなんて、確かにやり過ぎだよね。
そう思った私だったけど、直後その憶測が間違っていたことを知ることとなる。
『ちょ、ちょっと……、誰あれ?』
『むっちゃかっこいいんだけど』
『名取君って、あんなかっこよかったのか?』
ザワザワと騒ぎ始めるサークルメンバー達。
え……?
もしかしてみんなが黙り込んでいたのは、
郁郎君の顔に驚いているからだったの?
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