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麻衣ちゃん、きっと傷ついただろうな。
郁郎君のことが、大好きだったんだもんね。
明日の大学祭だって、郁郎君と一緒に見るのを楽しみにしていただろうに……。
なんだか、私達の嘘がどんどん色んな人達を巻き込んでしまっているね。
こんなこと、本当に続けていていいんだろうか……。
「ウォッホン」
何やらわざとらしい咳がして、私と郁郎君はパッとその咳をした人を見た。
「キミ達は、いつまでそうしているつもりなのかなー?」
石原君がニヤニヤとした顔で言った。
ん? 私達がどうしたって?
二人できょとんと首を傾げた直後、私と郁郎君はハッと我に返った。
すかさずパッと離れる私達。
やだ。
私ったら、いつまで郁郎君に抱きついてたんだろう。
っていうか、もう恥ずかし過ぎて消えたい。
こんな大勢の人達の前で、あんなこと……っ。
健斗君だって見ていたのに。
健斗君、どう思ったかな……。
怒っちゃったかな……。
「いやー、なかなか熱いキスだったねー。
普段クールな二人だけど、実はラブラブだったんだねー」
あぁ……。
もうなんて答えていいか、わからない。
チラリ郁郎君を見てみれば、彼も恥ずかしそうに頭を手で掻いていた。
だけどさっきのあのキスで、私と郁郎君がカップルではないという疑いは完全に晴れたようだった。
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