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「確かに、郁郎が雪音ちゃんにキスしたのはショックだったけど。
あの場をどうにかするには、あれが一番効果的だったと思う。
結果的に麻衣ちゃんも納得してくれたんだったら、あそこまでした意味は大いにあったと思うよ……」
健斗君がゆったりとした口調で言った。
話している間、私の顔を全然見てくれないから、それがひどく寂しかった。
「健斗」
「ん?」
「お前、余計な心配はするなよ?」
「なに? どういうこと?」
コテンと首を傾げる健斗君。
郁郎君は一度きゅっと目を細めると、静かに話し始めた。
「俺はあくまで雪音の恋人のフリをしているだけだ。
雪音に対して、友達以上の感情は全くないし。
それに雪音は、お前のことがめちゃくちゃ好きなんだ。
何も心配はいらない」
郁郎君……。
どうしてそんな話を、わざわざ健斗君に……?
「俺、別に心配なんて……」
「強がらなくていいよ。
本当はイヤなんだろう?
俺と雪音が一緒にいるってだけで……」
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