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多くの学生で賑わうお昼時の大学の食堂。
陽射しが直接降り注ぐ窓際の席で、私は長いため息をつきながらカタンとテーブルにスマートフォンを置いた。
その様子を、向かいに座っている友人がじっと見ていた。
「雪音。糸田君とまだ連絡とれてないの?」
「……うん」
ここ数日、私のスマホには彼からのメッセージも着信もない。
毎度のことだから、もう慣れているけれど。
「相変わらずねぇ」
ボソッと呟いて頬杖をつくのは、大学入学当時から仲の良い須藤茜。
ストレートの長い髪が印象的な、まつ毛の長い美人だ。
「こうもほっとかれると、今も雪音の彼氏なのかどうか怪しいわね」
その整った顔でズバッと物を言うから、たまにちょっと傷つくけど。
「まだ5日だから大丈夫だよ。最長で一週間連絡がなかったこともあったし」
ホントはメッセージくらい欲しいけど、それが出来ないくらい忙しいのはわかっているから。
「よく耐えられるわねー。あたしなら絶対無理。
一日連絡がなくても許せないわよ」
「ふふっ、茜らしいね」
「いや、普通みんなそうよ。
あんたが変わってんのよ」
「そうかな?」
「そうだよ。
まぁでも仕方がないのかもね。
あれだけの男を手に入れちゃった代償なんだから」
そう言って茜は、コップの水を飲み干した。
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