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絢音ちゃんがいなくなったこの家は、なんだか恐ろしいほどに静かで。
私は心臓が破裂しそうなほどドキドキしていた。
「雪音」
私の隣に座っている郁郎君の声に、ビクッと肩が大袈裟に跳ね上がってしまう。
「な、なに?」
恐る恐る彼に顔を向ければ、郁郎君はソファーからスッと立ち上がった。
「俺、ちょっとコンビニに行って来る。泊まる準備も何もしてないし、歯ブラシとか必要なものを買って来るよ」
「あー、うん。私も一緒に行こうか?」
「いや、大丈夫。それよりお前、先にシャワー浴びておけよ」
「へっ?」
シャワー?
な、なんで?
「なに驚いた顔してんだよ。一人でボーッとしてても、時間の無駄だろう?」
「あ、あぁ……」
なんだ、そういう意味か。
やだ、もう。
意識し過ぎて恥ずかしい。
「じゃあ俺、この家の鍵借りて行くなー」
テーブルの上に置いてあるキーを手にして、玄関へと出て行く郁郎君。
バタンと扉が閉まった途端、私はコテッとソファーに倒れ込んだ。
あぁ……。
いきなり郁郎君とお泊りだなんて。
さっきベッドの上で大胆なことを言っちゃったくせに、いざそうなるのかと思うとドキドキが止まらない。
郁郎君の本音を聞いた後だし。
さっきの郁郎君の熱いキスを思い出して、一人で身体が火照ってしまう私だった。
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