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自分で自分の太腿をごつんと殴って、白川は唾を飲んだ。
「俺、平野のこと好きだ」
そして目線を下に向けながら、
「平野がどう思っていようとも、俺は……」
と、付け足した。
紀里が夢恵の顔を覗きこむと、夢恵は目を見開いて固まっていた。
「夢恵。私から言おうか?」
至極真面目に紀里が提案したのだが、夢恵はぶんぶんと音を立てて首を振った。
「良かったら、明日の夏祭り、一緒に行かないか……?」
白川が遠慮がちに言を継ぐと、夢恵は目をぎゅっと閉じ、口角を上げてタオルに突っ伏した。
そしてタオルから少し顔を上げて、
「い、いいよ……」
嬉しさを素直に出さないようにしながら、誘いに応じた。
紀里はやっと、自分は今ここでは邪魔な存在なのだなと気付いた。夢恵の片思いが実ったのだ。そういうことがあるということは、漫画で読んで知っている。
「平野、もう帰り?」
「う、うん。そうだけど……」
「い、一緒に帰らねえ? 橋の方だったよな」
二人とも照れくささを隠すようにしながら会話が続いている。
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