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最初は違和感たっぷりだった紀里も、段々と、喜びが胸に広がってきた。
――話せる同級生がいるって、こんなに楽しいんだ。
クラスの女子の勢力分布もあって、紀里と夢恵は二人だけで行動することが多くなった。
それでも、紀里には話さなくてはならない秘密があった。
面倒な教師の手伝いを押しつけられ、二人だけになった教室で、紀里は緊張しながらその言葉を口にした。
「テレキネシス……?」
夢恵はストレートの黒髪をふわりと泳がせながら首を傾けた。
「念動力とか、念力とかも言ったりする……。手を使わずに物を動かすやつだ」
卒然と、紀里は目を閉じると、二人が座っている周りの机や椅子がゆっくりと、しかし確実に浮き上がった。
夢恵はぽかんと口を開けた。
「はー、すごいねぇ。本当に紀里がやってるの?」
机と椅子を元に戻した後、
「先生の机だけ動かしてみて」
「黒板消しだけ浮かせてみて」
「私を持ち上げてみて」
数々の夢恵のリクエストに答えると、ようやく夢恵は納得したようだった。
紀里は、夢恵の反応が怖くてたまらなかった。
「ごめん……。私は本当に変な奴なんだ。友達をやめてもらってもいいけど、このことは……」
夢恵はぐっと顔を寄せ、人差し指を唇に当てた。
「秘密、なんだね?」
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