ふわふわサイキック・ガール

3/17
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 最初は違和感たっぷりだった紀里も、段々と、喜びが胸に広がってきた。  ――話せる同級生がいるって、こんなに楽しいんだ。  クラスの女子の勢力分布もあって、紀里と夢恵は二人だけで行動することが多くなった。  それでも、紀里には話さなくてはならない秘密があった。  面倒な教師の手伝いを押しつけられ、二人だけになった教室で、紀里は緊張しながらその言葉を口にした。 「テレキネシス……?」  夢恵はストレートの黒髪をふわりと泳がせながら首を傾けた。 「念動力とか、念力とかも言ったりする……。手を使わずに物を動かすやつだ」  卒然と、紀里は目を閉じると、二人が座っている周りの机や椅子がゆっくりと、しかし確実に浮き上がった。  夢恵はぽかんと口を開けた。 「はー、すごいねぇ。本当に紀里がやってるの?」  机と椅子を元に戻した後、 「先生の机だけ動かしてみて」 「黒板消しだけ浮かせてみて」 「私を持ち上げてみて」  数々の夢恵のリクエストに答えると、ようやく夢恵は納得したようだった。  紀里は、夢恵の反応が怖くてたまらなかった。 「ごめん……。私は本当に変な奴なんだ。友達をやめてもらってもいいけど、このことは……」  夢恵はぐっと顔を寄せ、人差し指を唇に当てた。 「秘密、なんだね?」     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!