それは、誕生日プレゼント

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 でもね、衝撃的なのはそれじゃない。  高校生になった時、クラスメイトの男子に、誕生日の朝、呼び止められたんだ。 「これ、誕生日プレゼント。パウンドケーキを作ったんだ」  正直手料理って好きじゃないんだけど、まあ、私の為に作ってくれたんだとしたら悪い気はしないよね。  と言うか、嬉しいよね。  今迄の誕生日を思い返せば尚の事、喜んじゃうよね。甘い物は嫌いで、ケーキなんてもってのほかなんだけど、数少ない例外もあって、  パウンドケーキは見事にその例外だったから。  しかも男子って!今迄春が来なかった私にも春到来か!?って感じ。季節は夏が来るんだけどさ。  ただ、悲しいことに、この話にはオチ?がありまして。  だからこそ、このプレゼント、私の中で衝撃的だった。 「腐ってるかもしれない……と言うか、多分腐ってる。いや、絶対腐ってると思うけど、確実に腐ってるけど、良かったら食べて。腐ってるけど、うん。これは腐ってると思う」  さて、何回腐ってると言ったでしょうか!なんて一昔前に流行った引っ掛けクイズみたいな言葉もなく、其の後も何回か腐ってるって念押しした後、クラスメイトは自分の席に戻っていった。  あー、私の誕生日は大抵梅雨入り後、梅雨明け前だからねぇ。じめじめして、カビも生え易いだろうけど……。  腐ってるって何!?腐ってるけど食べて!って何!?  此れは新手の嫌がらせか何か!?  って感じで。  この年の誕生日プレゼントの前には「お前の誕生日祝わないから」も「死ね」も全部吹き飛んでたよね。
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