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第1容疑者・委員長
どうやら、海斗は委員長が怪しいと思っているらしい。
実を言うと、海斗が最初に誰を疑うか予想はできていた。だから、俺はため息と一緒に「やっぱりか」とつぶやいた。
「あっ。やっぱりか、ってどういうこと? さっきは心当たりないって言ってたクセに、誠花も委員長が怪しいと思ってたんだ」
「違う。お前が真っ先に委員長を疑ったことが予想通りだったんだ」
成績優秀で、スポーツ万能。一年生と二年生の間、ずっと委員長を担っている。
かなりの優等生だが、タダの真面目じゃない。セミロングの髪は茶色(本人曰く、校則ギリギリの色)に染まっている。メイク(曰く、校則ギリギリのナチュラルメイク)もしていて、スカートも短め(これは校則に対する挑戦に見える)だ。
委員長である自分が校則のライン上に立つことによって、生徒の規範になっている。
二つの面で先生たちから注目されているが、生徒からすれば、その両面があることで魅力が増す。人当たりもよく、分け隔てなく接する。
「なんで海斗は委員長がそんなに嫌いなんだ?」
問われた海斗はにこやかだが眼が笑っていない。
「嫌いだなんて言ってないよ」
「でも、嫌いなんだろ?」
「まぁね」
追求するとあっさりと認めてしまう。しかし、なぜ嫌う? 海斗だって、表面的ではあっても人当たりはいい。理由もなく人を嫌うようなこともなかったはずなのに……。
「そんな顔しないでよ。僕は好き嫌いとか、そんな身勝手で感情的な理由で委員長を疑ってるんじゃない。二人の仲を知っているから疑ってるんだ」
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