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委員長と俺の関係は深いとは言い難いが、浅くもない。
休憩時間や放課後に話をすることがよくあるし、この前は休日に一緒に出かけたりもした。その際、今週末の約束もした。
「まぁ、仲がいいのは否定しない。でも、だからと言って、これをやった犯人だと断定するのは早いだろ?」
「うん。そうだね。証拠不十分だ。僕だってわかっているから、あくまで容疑者だって言ってるんだよ」
仲が良いから疑っている。なんだか、恩を仇で返しているようで、心苦しい。
いや、悪いことをされたわけじゃないのだ。容疑者と言うから悪い印象があるだけ。だから嫌疑をかけるのも悪いことじゃないはずだ。
「じゃあ、どうやって証拠をそろえる? 指紋を調べたりできるなら、すぐにわかるだろうが、それができないとなると、かなり難しいぞ」
「いやいや、そんなに難しく考えることもないよ」
「ん? どうするんだ?」
「こうするんだよ。お~い、委員長」
あはは、と笑いながら手を振る。その先には委員長が、クラスメイトと楽しく談笑してる姿があった。呼ばれたのに気づいてこちらを向いて、呼んだのが海斗だとすぐにわかったらしい。眉を八の字にして、微妙な表情を浮かべた。委員長も海斗に嫌われているのは知っている。
それでも律儀な委員長はクラスメイトたちに「呼ばれてるから、ちょっと行ってくるね。ごめん」と断ってから俺たちの元に来た。
「やっほー金子くん」
愛想よく手を振ってくれる。気恥ずかしいけれど、俺も愛想は心得ているので振り返す。
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