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「誠花。なに納得した顔をしてるの? 僕はまだ委員長が怪しいと思ってる」
「だから、私は体育の時間はずっとバトミントンをやってたの。アリバイはそれで十分でしょ?」
「いいや。犯行は体育の時間に行われた可能性が高いだけであって、ほかのときでも不可能じゃない。僕らがちょっと目を離した隙に入れることだってできるだろう」
それはタダの言いがかりだ。その可能性は委員長に限った話ではなく、クラスメイトなら誰でも条件は同じだ。
やはり、海斗は私怨で委員長を疑っている。
「……ねぇ久保くん。あなたは私のどこがそんなに気にくわないの? 私はあなたに迷惑をかけるようなことはしたつもりはないんだけど……」
単なる文句のように聞こえるけれど、嫌われる理由を教えて欲しいと懇願しているようでもある。
海斗はフッと鼻で笑って、肩をすくめた。
「委員長。僕は本当に失望してるよ。そんなことも気づけないなんて、委員長どころか、優等生の風上にも置けない。そんなに知りたいなら教えてあげるよ」
海斗はそこで言葉を切って、息を大きく吸った。
吸った分、吐く息は長いだろう。
「まず、その茶色くて曲がってるシャラくさい髪型。なぜ、おさげじゃない? つぎに、都会に憧れてメイクしたけど、頑張り過ぎてる感がにじみ出てきて、逆に田舎くさくなってる顔。奥ゆかしさがまったくない。コンタクトをしているみたいだが、眼鏡をかけることをおすすめするよ。それ以上に最も許せないのが、スカートの丈だ。いや、スカートが短いだけなら許せた。しかし、なぜその中にスパッツを履いているんだ? なぜそこだけ奥ゆかしさがあるんだ?」
委員長は嵐の海に立っているかのように、だめ出しの大波に揉まれた。その嵐の勢いは、当事者には立っていられないほどのダメージを受けるようだった。
力が抜けたように、俺のイスに座った。
「……じゃあ、私はどうしたらいいの?」
「スカートでもスパッツでもどちらでもいい。今すぐ脱ぐんだ」
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