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「カイ! イシュル、いや、言ってる! ヤ、て! 強姦、めーっ!」
「強姦じゃないよ」
むん! と太っちょの鸚鵡が存在感を誇示するが、軽くカイはいなす。
「あ、あ」
いや、こんな格好、ルシエル見てる、いや、とイシュルが小さく細い首を振って嫌がると、あっち向かせるから、とカイがあやす。
ルシエルとて、海賊一族に属す賢い鳥なので、可愛い女の子が、熊のような大男に犯されかけて嫌がっていれば、こんな不細工にこんな美人が泣かされるのは世の不条理だな! 絶対ダメだ! と自慢の嘴で突ついてハリキって邪魔してやるのだが、このルシエルの若い美しい主人と想い人は、仲がいいのか不仲なのかわからなくて、邪魔するべきなのかどうなのか、困る。
「ン? 強姦チガウノカー?」
「うん。ずっとオレといてくれって、熱烈に求愛してんだよ。邪魔すんな」
「ウ、ソつ、き」
熱に浮かされたようなイシュルの潤んだ瞳に、鸚鵡の身のルシエルでさえ、ドキリとする。綺麗な堅い宝石のようなイシュルはこんな熱っぽい瞳をしていたろうか?
「だ…め…っ」
「嘘つき。もう、欲しいだろ?」
悪い薬でも使われているんじゃないかと疑いたくなるほど、イシュルは身体の奥が熱くなって、いや、と想っても、こうしろ、と言われると、カイの声に従ってしまう。
「いい子だ。捕まってろ」
背中に腕を廻すよう指示されて、カイの背に縋る。最初の夜にも想ったけれど、イシュルは、こんなに近しく誰かに触れたことはない。しかも、自分の身体のなかに、カイが…、入ってくる…。
「あ、や…! カイ…、こわ、い…」
「…大丈夫、だから」
優しい声の海賊が、宥めて、あやしながら、イシュルをすっかり食べ尽くす。いやいや、と泣きながら、カイが入ってくることを待ちかねたような体内のざわめきにイシュルは怯えていた。
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