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「さすがに、新卒に初めから完璧は求めないだろう。
けど、それに甘えられる訳でもない」
それだけに、緊張も集中も、今までとは比べものにならないだろう。
そう言って、辻上は少しだけ言葉を切った。
そして、更に言い難そうに低い声になり、ボソリと言う。
「今度の仕事に移ってからしばらく、仕事に集中したいんだ」
だが未波は、すぐに言葉が返せなかった。
ひどくたくさんの事が、一気に、彼女の頭の中を駆け巡っていた。
新しい職場で、新しい仕事に就くにあたって、
慣れるまでは、色々大変だろうということは未波にも想像はつく。
だが、半年くれということは、その間は全く会えないということなのか?
電話やメールもできないのだろうか。
そもそも、なぜ半年もの長い間が必要なのか。
何より、新しい職場や仕事に慣れない間は、
自分の存在は、彼にとって癒しにもなれないということだろうか。
胸の中で芽生えた小さな自信は、惨めなほどに萎れ果てる。
それどころか、疑問と不安でいっぱいになり、
何を言葉にすればいいのか分からなくなる。
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