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「あと今夜は、涼太くんと一緒にベッドで寝て」
促すと、サッと腕を緩め、辻上の顔が目の前に戻ってくる。
「いや。俺は、床で大丈夫だ。悪いが、お前が……」
しかし未波は、かぶりを振った。
「たぶんね、一度は夜中に目が覚めると思うの。
その時に、まだ会ったばかりの私と一緒にいるより、
知ってるレイといたほうが、安心すると思うから」
辻上の顔が、困ったように小さく眉根を寄せる。
だから未波は、その彼に柔らかく微笑んだ。
「じゃあ、予備の毛布が一枚だけあるから、
今夜は二人で、こうして眠ろうか」
言った未波が、そっと辻上の胸の寄り添うと、
彼の腕も、やんわりと彼女を抱き寄せた。
そして、腕の中で見上げた彼女の唇を短く啄んで淡く微笑み、
「うん」と頷いてきた。
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