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そうして10分も経たずに、辻上の胸に寄り掛かって眠り始めた涼太を
そっとベッドに戻した辻上に、未波は、床の上で毛布を広げて言った。
「今度は、レイの番。私、あと少しで起きるから交代しよう」
何か言いたそうにジッと見つめてくる彼を、未波もジッと見つめ返した。
そして、そんな彼女から何かを読み取ってくれたのだろう。
「悪いな」
呟いた辻上が、涼太の隣に素直に横になる。
未波は、ベッド脇のスタンドの灯りを落とし、広げた毛布にくるまった。
夕方過ぎの突然の電話から、数時間のままごとみたいな子守り。
だが、その数時間を横になって振り返った未波の瞼には、
不慣れにも必死に子守りをする辻上の姿が蘇る。
そして、幼子と格闘する辻上の様子に、思わず笑いが込み上げてきた。
まぁ、いつか本当に自分の子供ができたら、
良い思い出として思い出すのかもね。
そして、そんな言葉の後で、未波は小さく呟く。
子供、か――。
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