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未波は、聞こえてきた静かな二つの寝息を耳に、ゆっくり起き上がった。
薄闇の視界の中に、可愛い涼太の寝顔の横で、安らかな辻上の寝顔が映る。
無意識の中で、温もりを求めたのだろうか。
涼太の小さな手が、辻上の大きな手を握るようにしている。
そして辻上のもう一つの腕は、そんな涼太を囲うように
小さな頭の上から包み込んでいた。
それは、なんとも言えない優しい光景に、未波の目に映った。
そしてそんな彼女の胸が、そっと呟く。
いつか彼と、こんな風に自分たちの小さな命を育める日がくればいい。
そうしたら彼は、きっと優しくステキな父になるだろう。
そんな辻上の姿を、見てみたい。
そして、床に敷いたラグの上に再び横になり、もう一度、そっと胸の内で呟いた。
早く、そんな日が来たらいいな。
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