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未波ちゃん、どうして送別会に来ないの?
こんな電話が絹矢から掛かってきたのは、辻上の新しい仕事が決まって
4日後のこと。
だが、せっかく誘ってもらったとはいえども、さすがに辻上と一緒の酒席は
照れ臭すぎる。
第一、何も言ってはこないが、辻上が最も二人同席を避けたいだろうことは、未波にも察しがついた。
だから、「つまんないな」と膨れっ面の声音の絹矢には、
仕事にかこつけて残念だと断る。
しかし一方で、その時の未波の胸には、安堵と期待のほうが大きかった。
ようやく試験や仕事探しといった時間的なすれ違いからも解放され、
躓きながらも、互いの気持ちも何度となく確かめ合えた。
その上、先日の涼太の件で辻上が真っ先に自分を頼ってくれたことで、
未波も、彼の自分への気持ちに自信が持てた。
だからこれからは、辻上との未来も、単に彼女の願望や夢ではなく
現実として見えてくるかもしれない。
辻上の新しい道が決まってからというもの、
そんな淡い期待が、日に日に膨らむのを未波は止められないでいた。
しかしそれだけに、そんな送別会も終わった週末。
いきなり辻上から切り出された話に、未波は、ひどく戸惑った。
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