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15 ベイビーSOS(つづき)
だが、未波との電話を切った後も大変だったようだ。
「ちょっと焦ってたから、タクシーに乗るとか頭が回ってなくて。
でも、電車の中でもグズりっぱなしで」
泣き出すわ、暴れ出すわで、ラッシュと逆方向といえども
大分、肩身が狭かったらしい。
疲れた声で話すその時の彼を想像すると、
未波に、やっぱり笑いが込み上げてくる。
だが、なんとかそれを呑み込んで、太く溜息をつく彼の背中をそっと摩った。
「涼太くんのお母さん、いつ戻って来るの?」
「日曜の午後」
「じゃあ、明日は動物園にでも行こうか」
えっ?
呟いた辻上の顔が、未波の目の前に戻ってくる。
そして、ボソリと言う。
いいのか?
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