お見舞い

一日目

　今日も目が覚めた、目覚まし時計が鳴る前に。長年愛用したコイツも、普段通りに起きる分には要らぬ物なのかもしれない。しかし、嫁には必要かな。専業主婦で何時に起きても許される生活だとは言え、起きなければならない時間ってものがある日もあるのだから。まぁ、原因は俺にある。結婚以来、「朝ごはん作ってくれ」と頼んだ事など一度も無いのだから。本当のとこは、弱い立場上頼みたくても頼めなかったのが実情だけど。しかしここは一つ一念発起して・・・無いな、35年続いた夫婦円満状態をわざわざ潰す事も無かろう。現状維持に決定。

　その嫁が寝ているはずのベッドは、何故か空いている。まさか！俺の思いが通じたのか？もしくは、不覚にも寝言で喋っちゃったとか。こりゃ、10の言い訳を用意しないといけないかもしれない。いや～つい本音が・・ではなく、心にも無い事を・・・ってな感じで。