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モブ・パラドックス
なんでかゴツイおネェさんには人気あるんだなぁ。これが。だけど俺にはちょっと受け入れられないし、かといって夜の女は、自分の母親と同じに思えて拒絶反応起こすこともしばしば。
あ、そうそう、こないだオレオレ詐欺にも成功したんだわ。
最近はどこもかしこもポスターだらけで注意喚起されて、まぁ無理だろうな、なんて半分あきらめながら電話してみたんだが……。
いるんだな、騙されるやつ。
典型的な「会社の金を電車に忘れて今日中に用意しなきゃクビになる」って内容で一人三役、話を盛った。
ばあさんは疑いもせず、代理人になった俺に一千万、ポーンと渡してくれた。
「あの子はいつもそそっかしくて、学校に行く時も忘れ物ばかり……いつかこんなことになると思っていたのよ……」
ばあさんは口惜しそうにそう言った。そしてこちらに向き直り、深々とお辞儀をし、
「くれぐれもあの子を、よろしくお願いします」
と、目に涙を浮かべて懇願してきた。
大丈夫。あんたのお孫さん今日も元気に働いてるよ、きっと。
おかげでバブリーになった俺は夜のネオン街で豪遊したんだが、まだまだ金が余ってる。それにこれから寒くなるからいっそのこと南の島でも行こうかな。
そんな事を考えながら歩いていた。
「あの……」
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