秘密をかけた賭け

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本番のプレゼンまでの一週間。桜木はいつも以上に張り切って資料づくりに臨んでいた。残業や持ち帰りを何度も行い、自分の中での最高傑作を作り上げた。 元々桜木と藤堂はそんなに話す仲でもなかったが、この一週間は殊更言葉を交わす回数が少なかった。 こうして月日は過ぎて、気づけば一週間が過ぎていた。 「それでは新商品の立案をしてもらう。桜木君」 「はい。私は働く女性をターゲットにした美容健康食品について――」 桜木はいつも通り自分のプレゼン内容を読み上げる。今回は内容に自信があるからか、その説明にはいつも以上に熱がこもっていた。 説明が終わり締めくくると、桜木には多くの拍手が送られた。 「さすがだな桜木君は。今回はいつも以上に面白い内容だった」 「ありがとうございます片倉部長。ですが自分はまだまだですから」 「そんなに謙遜しなくてもいい。私は君を気に入ってるからね」 「片倉部長、始めてもよろしいでしょうか?」 声がした方に桜木が顔を向けると、藤堂がすでにプレゼンの準備を終えているところだった。その表情は一般的には真顔と呼ばれるものだったが、桜木はどこかその表情に違和感を感じた。 (ただ早くしてくれという不満だけでは何か違うような…) 「次は藤堂君だったか、始めてくれ」 しかしその違和感の正体に気づく前に藤堂のプレゼンが始まってしまい、そっちに意識が向いて、肝心の違和感の正体は掴み損ねてしまった。
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