探してたもの

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誰かが自分を呼ぶ声がしてゼニンは目を覚した。やっと寝れると言うのに誰が呼んだのか、不満で満ちている顔をして声がする方を見る。ドアの向うだろう。ベッドから起きてちょっとはねた金色の髪を手で触ってみたが変化はない。はねたままで、何とか落ち着かせたいが外で待ってる人の事を思い出し、諦める。結局そのままドアを開き、自分の休みの邪魔をした人を見る。ゼニンのルビーのように奇麗な赤色の瞳に写った少年は奇麗な顔をしていた。一瞬、間違ったら女にも見えそうなその少年はゼニンと同じ歳位で銀色の髪は月の光みたい。そしてその少年も鮮明な赤色の瞳を持っていた。その赤い瞳は闇が満ちてるこの部屋では黒にも見えそうだ。 「急にどうした、シア?」 ゼニンは相手をシアと呼んだ。そうすると相手はちょっとお願いがある、と言いながら子供っぽく笑う。 「明日、ちょっとデートの予定が急に入ってしまって。」 そこまで聞いてゼニンは相手が何を言いたいのか察した。明日はシアが町まで行ってママが作ったパンを売る番だ。 彼らが住んでいるここは孤児園でママと住んでいる。そしてゼニンやシアみたいにちょっと大きくなった者はママを手伝ってパンを作ったり、作ったパンを町で売ったりする。孤児園で町までは歩いて30分。ちょっと遠いし、それにパンを全部売るには普通夕方にまで掛かる。だからパンを売る担当になった日は他の予定があってはならない。 ゼニンはため息をついた後、分かった、と答えた。まあ、忙しい時にはお互い助け合うのだとママもいつも言ってる。それに他でもなく一番親しいシアの願いだ。その変わりに次、ゼニンの番の時に代わってくれると言ったし。そう約束してシアが自分の部屋に帰るとゼニンもベッドの中に入る。明日は急な仕事が入ったから早く起きないと、そう思いながら少年は目を閉じた。
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