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自分がここに来なかった2週間の間、何があったのか。やけに町が賑やかな感じだ。人々は皆浮かれているし商人も多い。その分、客になれそうな人も多いがもしかすると夜まで売らないとダメかも知れない。そんな心配をしている時、後ろから馴れた声が聞こえて来る。細いがしっかりと筋肉を持ってるエビンだ。彼は村の隅っこで小さな花屋をしている。
彼は穏やかな笑顔をしていた。
「おはよう、ゼニン」
「おはよう、エビンさん。今日は何か祭りでもあるんですか?」
ゼニンがそう訊くと相手は頷く。
「うん、何と王様がここに来るらしい。結婚の相手を探すって。変った人だよな、普通は王宮でパーティを開くのにここまで直々いらっしゃんるなんて」
確に変った人だけど自分とは関係ない事だと思う。ただ漠然と一度は会ってみたいなとは思う。今までそんな偉い人は会った事が無いから。でもそれは不可能だろう。自分みたいな者は王がいる場所の近くに行くのもあまり歓迎されない。ゼニンは前に聞いた物を忘れてパンを売り始めた。もちろんエビンも買ってくれた。スタートが良い、きっとすぐ全部売れそうだ、と思った。
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