第1章

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給仕に案内されたトイレは、日本のソレとあまり変わりはなかった。 ただ違うトコは水洗ではないだけ。 洋式だけど水は自分で流す。 さすが王宮だけあって、トイレの個室は広くって、暖かかった。 でも、床は絨毯が張ってあり、無駄に広いから、変な緊張をしてしまった。 手洗い場も蛇口はなく、水瓶から杓(ひしゃく)で掬(すく)い洗った。 ポケットからハンカチを出し手をふく。 そして、手鏡を出した。 もしかしたら、通じるのかな? そんな軽い気持ちで覗きこんでしまった。 「えっ!?」 鏡に写るのは、アノ人。 私が会いたくって、会いたくって堪らなかった人。 なんで見えるの? そんな風に相手の口が動いたのが分かった。 なぜなら、私も同じ事を思ったから。
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