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勇気が出ない話
勇気を持つ話
the134340th(ホシ)
その春、僕は告白が出来なかった。春と言っても、それは入学式ではない。入学早々、一目惚れをしたもんだから真っ先に告白をしに行ったというわけではないのだ。
でもそれになぞって例えるならそれは、
『真逆』
だと思う。
春、
三月、
卒業式、
まだ桜の花びらが舞う中学校で、僕は卒業式に好きな女の子――咲――に告白をしようとしていた。
咲は今時にしては珍しい、小説が好きな女の子だった。
そして僕も、小説が好きでよく読んでいた。
咲は特に海外ファンタジーを好んでいて、僕はどちらかというと現代をモチーフにした日常ものを好んでいた。
でも、僕が全く海外ファンタジーを読まないかというと、それもまた違った。
咲がハマった作品、面白いと思った作品は、それを共有して読んだ。咲も、もしかしたら好きじゃなかったかもしれなかったけれど、僕が勧めた小説を読んでくれた。
この展開がたまんねぇんだ、とか、ここの心情が綺麗で好きっ、だとか、そういうことを、洗いざらい全部話した。
そして僕も咲も、同時に小説を書くことが、まちまちあった。
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