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◆ ◆ ◆
響に出会ったのは高校一年のときだった。
その頃の俺は時間を潰すためだけにクラスのヤツらとつるんでいた。
その五、六人の中にたまたま紛れこんでいたのが響だったのだ。
接点はそれだけ。
共通の話題があるわけでもない。
遊び仲間ではあるものの、まともに話したことはおそらく一度もなかったはずだ。
仲間達とは最初こそゲームセンターや漫画喫茶に行っていたが、何回か遊んでいるうちに他校の女子が何人か加わるようになった。誰かの彼女だったのかもしれない。
途端、仲間といる時間がつまらなくなった。
似合いもしない化粧をし、口を開けば嘘や媚びだらけの女達にはうんざりだった。
そんなヤツらの言動にいちいち大袈裟に反応し、振り回され、好かれようと必死な男共も、見るにたえない。
俺はバカバカしくなり、仲間の輪から離脱した。
すると、もう一人、同じように抜けた者がいた。
それが響だった。
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