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彼は当然のように俺のもとへやってくるなり、
「龍広くんと一緒のほうが楽しそう」
と、笑った。
その表情があまりにもマヌケというか、へにゃっとしていたというか、隙がありすぎるというか。
とにかく──腹が立ったのを覚えている。
「ねぇ、一緒に帰ってもいいかな?」
「……勝手にしろ」
どうせすぐに飽きて離れていくに決まっている──。
それから、五年が過ぎた。
彼は今でも俺のそばにいる。
何より驚いたのは、彼が俺と同じ大学の同じ学部を受験していたことだろう。
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