1.秘密事/相談事

11/20
前へ
/500ページ
次へ
    彼は当然のように俺のもとへやってくるなり、 「龍広くんと一緒のほうが楽しそう」  と、笑った。  その表情があまりにもマヌケというか、へにゃっとしていたというか、隙がありすぎるというか。  とにかく──腹が立ったのを覚えている。 「ねぇ、一緒に帰ってもいいかな?」 「……勝手にしろ」  どうせすぐに飽きて離れていくに決まっている──。  それから、五年が過ぎた。  彼は今でも俺のそばにいる。  何より驚いたのは、彼が俺と同じ大学の同じ学部を受験していたことだろう。  
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1206人が本棚に入れています
本棚に追加