1.秘密事/相談事

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   俺はぼんやりしたまま獅子舞を眺め、小さな紙切れを開いた。  大吉、だった。  獅子舞からの皮肉のプレゼント。  喜びも虚しさも無く、無心のまま文字をたどった。  ──“なにもかもうまくいく。だが用心しなければすべて破れる。” 「はあ」  これでは何も書いてないのと同じではないか。  なんてことを考えていると、ふと、ある部分で目が止まった。  ──待ち人、遅れるが来たる。  そうだろうか。  俺の待ち人はずっとそばにいて、でも手が届かないくらい遠くて……。 「龍広くん」  名を呼ばれ、ハッとした。 「なんか嫌なこと書いてあった?」 「別に」  おみくじをポケットにつっこむ。  ──もう、手遅れだ。  
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