1.秘密事/相談事

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   ヘドが出そうになりながら、ホットココアに口をつける。  これが驚くほど薄い。湯が多いのか、粉が少ないのか、あるいはその両方か──。 「いい加減にしろ。相談無しに一人で決められないことなのか?」 「だってだってー」 「たまには自分だけの頭でしっかり考えて答えを出せ」  ヘドを飲む──という表現は無いと思うが、ココアのせいで本当にヘドを飲んでいる気分だった。眉間にシワを刻み込む。  何か言いたげに見つめてくる彼に、少し唇を噛んでから、こう言い放った。 「俺だって、たまには、お前に──」  背後にいた女子学生たちの爆笑に阻まれ、俺の言葉は彼に届かなかった。  それで良かった。  それで良いに決まっていた。  本当の声なんて、どうせ届きやしないのだから。  
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