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2.相談事/艶ノ色 ※
◆ ◆ ◆
夕方。
駅前で響と分かれたあと、途方に暮れるほどの虚しさが込み上げた。
彼はこれからバイトに行くと言っていた。だとすれば、例の彼女にもきっと会うのだろう。
一体、どんな顔をするのだろう、どんなことを言うのだろう──。
考えたくもない。
このまま部屋へ戻り、ひとりになってしまうのは怖かった。
今の気持ちを誰かに打ち明けてしまいたかった。
兄になら──と、すがりつくような思いで自転車を走らせる。兄の住むマンションは、幸い、響のバイト先とは逆の方向にある。
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