2.相談事/艶ノ色 ※

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  「──あら、随分と久しぶりね」  しかし、出迎えてくれたのは兄ではなく、彼の同居人であるケティだった。  黒色のノースリーブワンピース姿の彼女は、赤と黒の混ざった髪を三つ編みにしていた。少女じみたその髪型に対し、顔のほうは妖艶に化粧がほどこされている。 「あたしはさっき帰ってきたところなの」  切れ長の目も、人工的なまつげに覆われている。 「お店の前で転んで、足、ひねっちゃって」  彼女は困ったように頬を引きつらせると、自分の左脚をさすった。その足首には包帯が巻かれている。 「イヤよね、あたしたら。ドジで」  笑いながら身をかがめた彼女は、指先で包帯のゆるみを直す。  そのとき、深めに開いたスリットから、肉付きの良い太腿がのぞいた。その肌は驚くほど白く、美しかった。 「……大丈夫、ですか?」 「心配してくれるのね、ありがと」  そんなつもりでは──と、思わず視線をそらす。 「兄さんは?」 「仕事中。きっと今日はもう帰って来ないわ」 「そうですか」  留守ならしょうがない。  礼を言い、ドアを閉めようとしたとき、 「待って」  向こう側から腕を掴まれた。 「せっかく来たんだもの。お茶くらいいかが」  優しい言葉とはうらはらに、その手には振り払えないほどの力がこもっていた。 「いいでしょ?」  血のように紅い唇に、ゆったりとした笑みが浮かんだ。  
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