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「違うッ!」
一瞬にして血の気が引き、目が覚めた。
気がつくとケティの体をはね除け、起き上がっていた。
「違う? 何が違うの?」
「……今日は、っ……、本当に、こんな、つもりじゃ──!」
俺は喉を必死に震わせ、反抗する。その声は上擦って、かすれていた。
「今更なに怖気付いてるの」
ケティは呆れたような溜息をつく。
乱れた赤髪を撫でつけ、再び微笑を浮かべると、
「嘘は体に毒よ。もっとしてほしいって顔してる。……もっと、もっと、って」
そのまま腰にすがりついてきた。手を伸ばし、勝手にベルトを外し始める。
「やめろっ!」
どうにか逃げ出そうとしたものの無駄だった。
足を掴まれ、床の上に引きずり倒される。
「自分の体には正直にならなくちゃダメよ」
のしかかられると同時に下を脱がされた。彼は楽しそうに笑いながら、脚の間にその身を滑り込ませてくる。
「こうされたかったんでしょ?」
その指先は下半身に触れている。先端をゆっくりとなぞり上げられれば、どうしたって感じてしまう。
睨みつけてやると、その美しい笑顔がみるみるうちに崩れた。非情なほどに歪み、勝ち誇ったような笑い声を上げ始める。おかしくておかしくてたまらないという甲高い声。
それでも睨むのをやめずにいると、
「イイ顔ね。そそるわぁ……」
彼はまた唇を押し付けてきた。
今度は歯並びを確かめるように舌をねじ込んでくる。
なんとか追い返そうとするも、舌がもつれ合い、唾液が絡む音が大きくなるだけだ。
「んっ」
下は下で擦られ続け、触れ合う唇の間から切ない吐息がもれてしまう。それでも認めたくなくて、体をよじり、彼の肩を引き離そうとした。
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