1.秘密事/相談事

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  「……龍広くん?」  名前を呼ばれ、ハッとした。  息を吸った瞬間、ホコリが喉に絡み、激しく咳き込んでしまう。 「だ、大丈夫!?」  背中をさすられながら、泣きそうな気分になった。  たかをくくっていた。  完全に油断していた。  響には最悪の要素がひとつだけあるから──。  ファッションセンスがあまりにも独特すぎるのだ。  他人にどうみられようとお構いなし。その上、ド派手なものを好む。  ほったらかしておくとヒョウやトラ柄のTシャツを着たり、鳥除けみたいなキラキラを身にまとったり、全身を原色で統一したりする。  ついこの間は赤いハンチング帽に、真っ黄色のポロシャツ、グリーンジーンズというファッションであらわれた。  流石の俺も黙っていられず「信号機か!」とツッコミを入れずにはいられなかった。  そんなファッションモンスター・響である。  まさか告白するツワモノがあらわれるなんて。 「突然すぎてびっくりした?」  今日も今日とてウロコ模様の青シャツを着ている。お前は鯉のぼりか。高いところに吊り上げてやりたくなる。  こんな男を好いている女がいるのだ。  おぞましかった。  世も末だと思った。     
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