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「なんか可哀想だから、OKしたんだよね。一応」
その瞬間、脳天に雷が落ちた。一気に指先までしびれ、動けなくなる。
「へへへっ。そういうことです」
何も知らぬ響は頬を掻き、照れ臭そうにする。
俺は言葉に詰まった。歯を食いしばり、震える両手を握りしめる。
「お前どうして、そんな大事なことを……、か、可哀想とか……、そういう、その場の感情だけで、決めるんだ」
あくまで冷静に冷静にと言い聞かせながら、頭の奥から取り出した言葉を声にしていく。
「だって龍広くんが相談に乗ってくれなかったから」
「まさか、お前……、昨日の電話は……」
「告白された後すぐかけたんだよ」
「バカがっ!」
食堂全体に一瞬、静寂が走る。女子共が振り返って、何事かとヒソヒソと話している。
それも数秒後には元に戻っていたが、知ってしまった現実は凍りついたままだ。
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