1.秘密事/相談事

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  「なに怒ってるの?」 「お前が……、ちゃんとしてないからだ」  ──ここから逃げ出したかった。  左目の奥がズキズキと痛む。  手を当ててみると、余計なものが流れてしまいそうだった。慌てて天井をあおぐ。  ──逃げたい。 「やっぱ、もっとよく考えなきゃダメだったかな……」 「当然だ」 「そっかあ、そうだよね。ごめん」  ──俺に謝ったところでなにも変わりはしない。  それからは互いに黙りこくったまま、時間が過ぎた。  やがて講義開始の時刻になったので、冷め切ったココアを飲み干し、飛び出すように食堂を去った。  
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