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「冗談じゃなくて? ホントにわからないとか?」
璃子はジッと彼の顔を見る。
綺麗な二重で少し目じりが下がっている、色白の優しい印象の顔立ちだ。
1学年300人あまり。
男子がそのおよそ半分の150人としても同じ学年で見た覚えがない。
彼がその璃子の様子に肩を落とし、ため息をついた。
「ほら。小学生の時、離島の大婆様のところで一緒に過ごしただろ。覚えてない?」
璃子の顔が矢庭に険しくなる。
「わかりませんけど、それなら理事長室か本家の方にどうぞ」
そう言うとクルリと踵を返して走り出した。
「ちょっと待って! え!? 何? どうかした?」
彼も訳がわからず、璃子の後を追って走りだした。
「璃子! ちょっと待って! 止まって!」
璃子は足を速めた。
これ以上はこの男子に関わりたくは無い。
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