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それなのに…自分でもこの湧き上がる衝動を押し止める事がどうしてもできず、先程とは違う汗が伊右衛門の背中を伝った。
伊右衛門は遠慮がちに国松の背中にソロソロと頬を寄せると、そのまま国松の背中に張り付くように自身の身体を寄せてみた。
「あっ…」
冷えた己の身体にじんわりと国松の肌を感じたその刹那、伊右衛門の強張っていた身体の力がスッと抜けた。
「あったけぇな…」
頭のてっぺんから痺れる様な喜びが、伊右衛門の身体を包み込む。
伊右衛門はいつの間にか水を乞う草花みたいにもっと貪欲になってしまって、とうとう国松の背中に抱き着いた。
国松が眠っていることをいいことに、背中に頬ずりし胸いっぱいに息を吸う。
豆乳みたいな甘い匂いが鼻腔をくすぐり、伊右衛門がそれに酔いしれていると、突如寝返りを打った国松が、背中の伊右衛門を自分の胸元にゆっくりと抱き寄せた。
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