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思わず息を呑んだ。
亡くなった母からのプレゼント・・・・・・?
「お父さん、どういうこと?」
「お前の誕生日に渡してくれと言っていた。書斎にあるから受け取っておいで」
私は何かを求めるように主人を見る。
主人も頷くので、私は不思議な気持ちのままリビングのドアを開き、父の書斎へと向かう。
ドアに嵌め込まれたガラスから、「ぼくも行く」と走り出す優斗を「ママは大切な用事」と言って抱き上げる主人が見えた。
二階にある書斎へ向かうため、階段をゆっくり昇る。
母が私の手を引き、導いているような気がしてくる。
いったい何があるんだろう。
大好きだった母のことなのに、何故か少しだけ怖くもあった。
いつもと変わらぬ、父の書斎へ続くドア。
胸の前に手のひらを当てて瞳を閉じる。
優しく微笑む母の姿を思い浮かべながら、ノブを回した。
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