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拝啓、詩人のお兄さま。あなたに話しかけるようになって随分経ちました。どのくらいの時かと申しますと、山の神社で昼寝をしていた小学生が、道で拾った小枝を手にして行進するのが憚られるような歳になりました。それどころか、走るだけでぎょっとされるようになって、わたしもぎょっとしています。驚きと哀しみでいっぱいです。そうはいっても、植物や動物たちに話しかける癖は直っていません。今朝も擦り切れた登山リュックを背に門扉を開けようとして雀たちをたいへん驚かせてしまい、「ごめんよ!」と平謝りしているのを近所の人に見られてしまいました。元より変わっている子、と言われ続けて育ちましたので、そのぐらいのことはへいちゃらです。それでもわたしの年齢になりますと、他人に対して自分の行動の言い訳をするのが急に難しくなってきました。決してこどものようにふるまっているつもりはありませんが、どうやらわたしは大人と呼ぶにふさわしくないようです。落第は得意です。だからやっぱりへいちゃらです。
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