1章 3 ブリーズレス

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何かを買った事から、テンションが上がったのか、悠は、そこから一気に様々な屋台を回りだした。  あんず飴の感想は  「甘いです!にちゃにちゃします!」  牛串の感想は  「美味しい!でも、硬いです!」  カキ氷を食べた時は、  「あ、冷たい…美味しい…でも、これ、どこらへんがハワイなんですかね…」  「気分じゃん?」  映画を観たときとは全く正反対のシンプルでストレートな感想のオンパレードに、俺達は青い舌を出しながら二人で笑い続けていた。  遊具系の屋台にはあまり興味を持てなかったのか、金魚すくいや射的には、あまり興味を示さず、拒否を続けていたが、何故かイギリスの絵本にある、Pコートを着た熊のキャラお面には過剰なまでの興味を示し、それを買っていた。 理由を聞いたら、この前観た映画が面白かったかららしい。 全然似てないのに。どこまでも、シネマフリークな奴だ。  オムそばと、佐世保バーガーを買って、花火会場へ向かう。 向かうにつれて、人口密度が上がるからか、気温が上がった気がする。  (あっつ…)  思わず、袖をまくる。二の腕の風通りが良くなり、目を細める。悠は、汗ひとつかいていない。  「暑くないの?汗とかかかない人?」  「あ、いや、暑いです!そりゃもう!」  疑問には思ったが、その瞬間、遠くから聞こえたドン!という破裂音。 急かされるように歩を進める。ビルの隙間から、空に広がる花火が見える。  
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