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活気の無い貧民街の一角に立つ、木材むき出しのしがないカフェが朝日に照らされていた。
看板にはMadderの暗赤色な文字と、白い花びら5枚から成る花の絵が描かれている。
店内を観察してみても飾り気が無く、目に付く物と言えばピカピカの振り子時計と、
花瓶に花が活けられている程度。
看板に描かれているそれと良く似た小さい花が、幾つにも別れた枝の先端にそれぞれ咲いている。
「ごゆっくりどうぞ」
カウンター席に座る男の前に、コーヒーの入ったカップが静かに置かれた。
男は全ての茶髪を後頭部でひと纏めにし、それを更に1本に編んでいる。
服は肩から先を引きちぎったような袖の無い物を羽織っており、腕を露出している。
「今朝の新聞見たぜ?いやー、さすがだな」
男はコーヒーやウェイトレスに目もくれず、
テーブル席に座る別の人物に向かって話しかけていた。
「この辺でも1、2を争う強豪ギャングのTiger Fangを、
いったいどうやりゃ正面からぶっ飛ばせるんだよ。
その見た目で油断でもさせたってのか?」
男の言う油断を誘えそうな見た目とは、どんな見た目なのだろうか。
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